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日本人にも影響があるパナマ文書の情報流出とは。なぜ流出したのか、なぜ企業の租税回避が問題なのか。

初めに

世界的に連日報道され続け、NSAの監視問題を暴露したエドワード・スノーデン氏をもって「今世紀最大のスキャンダル」と言わしめたパナマ文書の流出問題。

現在進行形で各国報道機関が一体となってパナマ文書の膨大な資料にビッグデータ解析を行っています。

その結果、次々とタックスヘイブン地を利用し租税回避を行っている企業をリストアップされており、多国籍企業はもちろん、各国政府の要人やセレブと呼ばれる人たちも名を連ねています。

 

中には過去の発言を掘り返され強烈な批判に晒されたり、アイスランド首相が辞任を表明する事態にまで発展しています。

この文書が流出した影響は非常に大きく、国によっては税収の制度にまで影響を与えかねないほどのインパクトがあります。

現にヨーロッパでは既にタックスヘイブンの濫用を規制しようとする動きが出てきており、日本も無関係ではいられなくなっています。(たとえ政府が調査しないにしても)

パナマ文書の情報流出について

パナマの法律事務所から、1000万件以上もの書類が流出したといわれています。内部犯、外部犯どちらも考えられる状況です。

例え意図的に流出させたものであったとしても、広範囲な政治的影響力を持つリークですから架空の攻撃者のせいにしておくでしょう。

じゃないと夜安心して寝られません。現にこの法律事務所は外部からサイバー攻撃を受けたとしています。

 

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一方でセキュリティ専門家などに指摘されている点としては、運営しているwordpressのバージョンが古いなどといった点です。

セキュリティアップデートの意識が低いのか、脆弱性のあるサービス・システムばかりを利用していたようです。

よってたとえ外部犯の攻撃だったとしても、この法律事務所に責任があることには変わりないでしょう。

この流出を踏まえて、”セキュリティに問題があったからサイバー攻撃の標的になった”と言い訳できるように環境を整えていたと邪推することもできます。

 

現段階では”外部犯”とされる人間が、"企業の悪行を暴きたかったため"サイバー攻撃した後の成果物をリークしたということになっています。

どうして”この”法律事務所に大量の企業の租税回避に関わる書類が大量に眠っていると突き止めたのか、不思議です。意外とこの事務所に近い人間かも知れません。

3. タックスヘイブン?租税回避?何それ美味しいの?

タックスヘイブンというカタカナワードは英語のtax heavenから来ており、法人税などの税率が低い国のことを指します。直訳では税の天国。

法律的な詳細は専門家にお任せするとして、タックスヘイブンは現行法では少なくとも違法ではないというのが実態のようです。

企業運営・業務遂行を税率の低い国に移して行う「節税」と、本社だけ税率の低い国に移し”たことにして”企業運営は本国で行う「租税回避」は明確にわけて考える必要があります。

ある意味、サーバーは海外にあるから日本の法律は適用されませーんって奴に似てるっちゃ似てます。そのサーバーを運営しているのは日本なのに。

 

当然、違法じゃないから何をやってもいいわけではありません。不遡及であるとはいえ、将来的にタックスヘイブンが規制される可能性は十二分にあります。

法律はどこまで行っても人間の歴史・想定に基づいて作られたものであり、どうしても抜け道は存在します。タックスヘイブンは、その抜け道を好き放題利用しているに過ぎません。


国民感情について

税金、というのはとてもセンシティブな話題です。消費税の上げ下げがよくメディアで話題になりますが、法人税であったり個人資産税であったり様々な種類があります。

そして、税金は国家が存続するために必要な金額であり、国民皆が”平等に”負担することが大前提です。

負担額は所得等によって変わってきますが、税が発生する場合は個人であれ企業であれ確実に納税するということが”平等”ということになります。

例えばある一部の国民が納税しなかったとして、それがその他大勢の国民の知るところとなれば大問題です。

当然、その他大勢の国民は”なんで納税しなきゃいけないんだ、あいつはしていない、不公平だ。”という感情を持ちます。当たり前です。

税制度が辛うじて成り立っている大本の平等・公平性が揺るがされているわけです。

 

もちろん、現行法では”納税する必要がない”から別に不公平じゃない、という主張もあるでしょう。

しかし、一介のサラリーマンがタックスヘイブンを利用して租税回避できるかといえば、そうではありません。

 

鍵はここです。タックスヘイブンを利用した租税回避は、誰でもできることではない。そこに不公平さが生まれてしまうのです。

誰でも租税回避できるんだったら誰も文句言いません。多分。

企業・セレブの立場

企業やセレブの立場としては当然、利益を上げるだけ上げて貯め込みたい。節税ももちろん行う一方で、できるだけ租税回避を行ってリスクに備えたい。

お金がどんどん入ってくるが、入ってくればくるほど税率も上がってしまうので、うまいこと抑えながらやりくりしているわけです。

 

大企業や多国籍企業などになれば顧問弁護士などが複数付いており、その会社の状況に基づいてベストな法律相談・判断をアドバイスしたりできる環境があります。

タックスヘイブン利用の起点を知りませんが、この辺から生まれたんじゃないかなと思います。

当然裏に法律のプロがついているわけで、これらの行為を一般人が簡単に”違法だ”などと糾弾などできません。

企業の立場からしてみれば違法じゃないんだからということで利用するわけです。法令順守してますよ、という具合に。

 

しかし、企業は経済活動と平行して社会的責任(CSR:Corporate Social Responsibility)を負います。

最近良く話題になるコンプライアンスだって、単純に法令順守してればいいよ、と解釈してしまうのはあまりにも浅いといわざるを得ません。

”違法じゃなければ何したっていい”を防ぐために、高い倫理観・責任感を持ってコンプライアンスを守りなさい、と説いているのです。

感想

個人的にはリストに名前が挙がっている企業や個人を批判する気持ちはありません。その行動の裏側は十分理解できます。

たとえ私利私欲にかられての行動だったとしても、少なくとも法は犯していないのだからという彼らの意見も間違ってはいません。

 

私が希望を持っているのは、このリストに名前が挙がっていない企業の方です。もちろん、もしかしたら別の租税回避地を利用しているのかも知れません。

会社によっては内部規範など自主的にタックスヘイブンの利用を行っていないところもあるはずです。

皆がみんな、”違法じゃないから何やってもいい”と考えるようになったら終わりです。
自分が、自社が、最後のストッパーになるんだ。そういったラストマンの覚悟を持っていてほしいものです。

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