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情報漏えいの事例など、情報セキュリティ意識を高めるブログ

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残業規制に全館消灯が何の意味もなさない5つの理由

全館消灯で、従業員の残業なんか減らないでしょう。

 

電通の新入社員が過酷過ぎる労働環境におかれた結果、自殺してしまうという痛ましい事件が起こりました。

本件を受け、電通は新たに従業員の過労働防止のためにいくつかの施策をとり、その中の一つとして全館消灯が打ち出されました。

 

全館消灯とはある時刻が来たら、強制的にオフィスの全照明を落とすことです。

ただし電気は使えますので、暗い中でもパソコンとかは普通に動きます。

 

(ちなみに全館点灯というものもあり、主に観光地向けですがみなとみらいのオフィスなどが有名です。)

 実は結構多くの企業が導入しているのですが、この全館消灯、大抵役に立ちません。

全館消灯が役に立たない理由は何なのでしょうか。

1.すぐ電気を付け直す

確かに照明が落ちる。落ちるんですが、殆どの場合もう1回スイッチ押せば照明がつきます。

よって全館消灯と言っても、結局はすぐに照明を付け直すだけの話です。しかもそれは大抵新入社員の仕事になります。

 

暗くなった瞬間に、「もう帰るべき時間だ」と分かるという注意喚起の意味はあると思うかもしれません。

ですが、強制力がない限りはその注意喚起もあまり意味がないでしょう。

 

例えばノー残業デーを導入している企業では、当日定時前ぐらいに帰るよう促す社内アナウンスを出すことがあります。

多くの社員はこのアナウンスを聞いて「よし、帰ろう」ではなく「あーやっと半分終わった」などという意識になっています。

 

たとえ夜の10時に暗くなったとしても、「あー10時か。夜食でも買いにいこう」なんてなるのがオチではないでしょうか。

2.暗くなっても作業できる(強制力がない)

スイッチが無効化され、照明をつけられなくなったとしても効果が期待できません。

オフィス内の電源が無効化されるわけではないので、パソコンなどの電子端末は全て利用可能なため。

 

作業は続けられるし、私の知人の中ではむしろ暗い方が外乱が少なくて作業がはかどるという人も。

暗所は必ずしも作業に支障をきたすわけではないんですね。暗い所で作業する従業員が増えて、目の負担もが増えそうです。

 

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明かりが必要な作業があれば、外から電気がついているのが見えないように・・・ビルの内側にある会議室で。

なんてことも実際に行われているとか。

3.持ち帰り残業が増える

当たり前のことですが、業務量が減らなければ業務時間も減りません。

 

マンパワーは増やせば増やすほど効果があるというものではありません。経緯の有無や属人的な能力など様々なしがらみがあるものです。

業務量は減らないから・・・という理由で社員に効率化を迫るのはどこの企業も同じです。

 

そのこと自体、結構従業員をないがしろにしている(つまり今お前らは効率的ではない、と宣言されたようなもの)言葉だからです。

たとえ効率化ができたとしても、浮いた時間は結局今まで裁ききれて居なかった仕事が振ってくるだけです。

 

過酷な企業で、浮いた時間でアフターファイブを楽しむなんて考え方は絶対にでてきません。

残業で支配的なのは従業員の効率などではなく、単純な業務量です。

 

特に広告業に限らず受注残業の場合、お金の流れが絶対的な力関係を作ってしまいなかなかNOとはいえないものです。

電通単体が何をどう頑張ったところでその上流が変わらない限り、同じような悲劇は繰り返されるでしょう。

 

業界の構造的な問題でもあります。

4.オフィス以外の場所に効力がない

消灯自体の効果の有無もそうですが、夜の10時以降に会社にいなければ良いだけの話です。

特に電通のように頻繁にクライアントや下請けと打ち合わせが行われるような企業では、夜の10時以降は本社以外の場所で打ち合わせを行うだけです。

 

また、全館消灯が本当に徹底されるとカフェや満喫で続きの作業を、といったことも増えるでしょう。

結果的に会社の機密情報がより外部に持ち出されやすくなる環境となり、今度は情報漏えいの危険性も増します。

 

ましてや深夜の疲弊している時間帯ですから、USBをなくした、パソコンを忘れてしまった・・・のような紛失事件が増えかねません。

受注産業ではこの手の情報漏えいは深刻になります。

5.その分始業時間が早くなるだけ

もっとも分かりやすい問題ですが、施策通りに夜の10時に帰ったとします。

 

通常深夜2時まで働いていて、朝の7時に出社していたとすれば夜の10時に帰り、深夜3時に出社するだけの話です。

実際にとある受注産業の企業では、強制力のある全館消灯を始め、帰宅平均より約3時間ほど早く帰らせました。

 

結果、従業員が通常より2~3時間ほど早く出社するようになったのです。もちろん全社員かどうかは不明です。

業務量が変わってないのに、退社時間を早くしたら出社時間も早くなるだけです。

 

効率化?今までできていなかったものが急に魔法にようにできるとでもお思いでしょうか。

まとめ

全館消灯に限らず残業時間の短縮も結局名目だけ、体感できるほどの効果は期待できないというのは皆なんとなく分かっているのでしょう。

とはいえ、何もしないわけにもいきませんので少なくポーズとして行う必要があります。

 

業務の絶対量が多く、受注残業の場合はどうしても譲れないところがあります。まさに電通のようなパターンですね。

 

・絶対的な業務量が多く、受注産業で変わりそうにもない

・人員はむやみに増やしても効果が薄い

・業務の効率化などすぐには期待できない

 

3拍子揃ってしまえば、長時間労働は「しょうがない」というため息も出てくるのでしょう。そしてこんなことは、社会人であればわかっています。

だからこそ、受注産業はブラックかつ体育会系と呼ばれ、長時間働ける企業戦士が蔓延っているのです。(建設業やITなども同じことが言えます)

 

変革は、まだまだ先の話になりそうです。

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