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普及しすぎたスマホカメラとAIで、知らぬ間に人々は監視社会を形成する

プライバシー保護を声高に叫ぶ傍ら、監視社会に貢献する?

数年前に、日本におけるスマホの普及台数は1人1台を超えました。もちろん年齢層等考え全員がスマホを持っているわけではないものの、街を歩く人の半数以上はスマホを所持しているでしょう。

例えば観光地に行けばあたりはスマホカメラで撮影の嵐。これは何も日本だけの話ではなく、海外でも有名な観光地に行くと多数の人々がセルカ棒で自撮りに勤しんでいます。観光地以外にも、美味しいレストランや有名なスイーツを出すお店なども同様の状況です。

 

別にスマホカメラで食事の写真をとったり観光地で自撮りが最優先事項だったとしても、人に迷惑をかけない限りにおいては価値観の違いとして片付けることもできます。

若い女性が自撮り一辺倒なのに対して、「観光地なんだから観光すれば良いのに」などという突っ込みを入れたくなる方もいるようですが、今時の若い女性にとっては優先順位が違う、価値観が違うのです。

 

ところが、ただインスタ映えする写真を撮りたいだけの若い女性も、旅行先で記念写真をとった夫婦も、知らず知らずの間に監視社会を加速させている可能性があるとしたら、どうでしょうか。

いつ、どこで、誰が、何をしていたか。そのような情報が個人に紐づけられるようなことがあったら、どうでしょうか。少し怖くなりませんか?

 

さらに厄介なのは、SNSを積極的に利用していない、もしくは全く利用していなかったとしても、この相互監視からは逃れられなくなる可能性があるのです。

従来は顔などをインターネットに公開している人に対して「インターネットに顔を出すなんて度胸あるな」と傍観者でいた人も、他人事ではいられなくなっています。

 

急速に進化した、人工知能による画像認識技術

近年の人工知能の発達は目覚しいものがあり、とりわけニューラルネットワークによる画像認識技術は凄まじい威力を誇ります。

顔を認識して名前を自動的にタグ付けするのは朝飯前で、大量の写真と投稿を読み込ませ、それぞれに写っている人の名前を顔を一致させるのもあっという間です。

 

一方、このような技術があったとしても学習データが必要になります。人工知能に学ばせるための、大量の写真データが必要になるわけです。

この部分は従来まではとても難しかったのですが、最近はハードルですらなくなってしまいました。

 

現在、それらはインスタグラムなどのSNSで簡単に調達できてしまいます

 

写真から人工知能は誰が写っているか、誰と一緒にいるのか、時間帯は概ねいつなのか、何をしているのか、屋内屋外、そういったデータを取得することができます。

それらを名前と紐づけることで、いつどこで誰が何をしていたかというデータがそれなりの精度で得られるようになります。

写真だけでもこれだけの情報を集められる上に、投稿内容などを組み合わせればより詳細なデータベースを作ることが可能です。

 

例えSNSのアカウントを持っていなくても、別の人の写真に一緒に写っていればデータベースに乗ってきます。名前も誰かの投稿の中にある名前が解析され、データベースと紐づけられる可能性は十分にあります。

観光地でスマホで写真を撮っている人たちのどれか一枚にでも写ってしまった瞬間、その時間その場所に旅行に行っていたことがデータベースに記録されます。

 

簡単に言えば、無数の人々の写メを組み合わせれば、監視社会を作り上げられるのです。そこにプライバシーはありません。

写メは昔なら個人が保存していた程度でしたが、インターネットという誰でもアクセスできる投稿先が登場したおかげで、監視したい側も大喜びでしょう。

 

もちろんこれらの作業は人間が地道に行うこともできましたが、膨大なデータ量からできることは限られていたのも事実。せいぜい人1人監視するのが関の山だったでしょう。

人工知能の強力な点は、インターネットにある大量の画像データを取り込み、自動的にデータベース化することができてしまう点です。

 

では、SNSに投稿された無数の写真でデータベースを作り上げたら、何が可能になるのでしょうか。

 

世界中に散りばめられた監視システムで、人々の詳細な追跡が可能に

SNSに投稿された写真だけでは、その人の生活を100%監視することまではできません。が、一旦データベースに登録されてしまうとその後生涯にわたって追跡され続けることになります。

極端な話、顔と名前がデータベースに登録されたらおしまいです。デスノートを彷彿とさせます。

 

顔と名前のデータがあれば、全国各地に散らばっている監視カメラに映る顔を解析し、データベースと照らし合わせて誰が写っているのかが記録されます。

そこから少しづつ、顔と名前のデータしかなかった人でも訪れた場所、時間帯などが蓄積されていきます。

それが1年、2年と積み重なるうちにその人の行動パターンは丸裸にされることでしょう。全く家から出ない人々のは別かもしれませんが・・・それでもコンビニに行くならアウトです。

 

冒頭の問いかけは、街中で写真を撮る多数の人々が無意識のうちに監視社会に貢献してしまっている可能性を認識しているかいないか、ということです。

SNSを利用しているとか、自分が写真を撮る撮らないというのはもはや関係ありません。一度でも誰かの写真の写った瞬間にデータを入れ込む箱が作られ、後は蓄積されていくのみです。

現代社会において、どの監視カメラにも誰の写真にも映らないというのは非現実的なため、この監視から逃れることはできないでしょう。

 

現に中国などではディープラーニングなどを活用し、SNSの写真を大量に解析することで人々の行動を監視・追跡しようとする実験が行われています。

何もこれは中国に限らず、アメリカやロシアなどの諜報機関などではもはや昔から考えられてきたことです。ただし、そのバックアップを行うツールが人工知能により大幅にパワーアップしている点は違いますが。

 

何でもかんでも撮影、はいいですがいつの間にかビッグブラザーに監視されるという社会は避けたいものです。

技術的には既に可能なレベル、学習データはインスタグラムに溜まる一方とあれば、日本においても誰かが手を出すのは時間の問題かもしれませんが。