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女子小中学生の声かけ写真展における合意とプライバシー侵害を通し、情報漏えいについて考える

中年男性が、女子小学生、女子中学生に声をかけ、撮影しているだけです

少し衝撃的な見出しかも知れません。どうでしょう、この一文を見てどう思いますか?

結局この問題はそこに尽きると思います。

 

街行く少女をテーマにした、ノスタルジックな声かけ写真展。

世田谷のものづくり学校という場所を利用して、声かけ写真展というものが開催されました。これは、

・今時の写真に”一般人の顔が写っていない”のをおかしいと感じ疑問を突き付けた。

・街で遊ぶ少女は、写真家にとって永遠のテーマ

などといった理由で、街行く少女の写真を撮影し、展示しているというものです。もちろん、撮影の許諾は取っているとのことですが・・・。

 

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少女の許諾があれば好き放題写真はとっていいの?

中年男性が女子小学生や女子中学生の姿を撮るということについて語ることは何もありません。是非についても触れません。その辺はネット世論にお任せすることとします。

 

私が疑問に感じたのは、許諾を取っているといってもそれは被写体の少女からであって、その親から撮影許可を取得しているわけではないのではないかということ。

被写体がとっていいよと言ったからって好き放題取れるわけじゃありません。例えば児童写真で許諾があったとしても過度に性的な場合になどは法律違反になるでしょう。

 

そこで、弁護士ドットコムにちょうど参考になる答弁がありましたので紹介します。

未成年のファッションスナップ写真で親の承諾は必要?

適正なカテゴリーが見当たらなかったので、ここに質問致します。

ファッション雑誌に掲載の「街角スナップ写真」などで、未成年を撮る場合、その写真を雑誌に掲載をするための承諾書のようなものを、保護者に書いてもらわないといけないのでしょうか???
(略)

まさに、今回の声かけ写真展のようなシチュエーションだといえます。あ、意図は全然違いますけどね。

それに対する弁護士の回答は、以下のようになっています。

書いてもらう方が無難です。掲載に同意する最終権限は親権者(親)にあります。もちろん,ほとんどは文句が来ないでしょうが,文句がきたときに面倒になります(雑誌を回収しろとか言われたら大変です)。
承諾書は,自筆署名+印鑑(認印で可)が必要でしょう。

引用元:同上

違法であるとは明言されていないものの、その一方で承諾書がないと面倒になるといった趣旨の発言をしています。

結局文句がこないから大して問題になっていないだけで、実際真っ白かといえばそうでもないようです。”少女の許可を取ったから好き放題写真を取って展示していい!!”とはならないということでしょう。

許諾をとっている・・・っていったって何に使うかわかってる!?

次に感じたのは、”許諾をとっている”のレベル。一体、どの程度を持って”許諾をとっている”と言っているのでしょうか。

例えば、写真をとってもいい?と世間を知らない少女に聞いたら二つ返事で”いいよ!”と帰ってきそうなものです。芦田愛菜ちゃんとかなら別かも知れませんが・・・。

あ、誰か来たようだ。

 

それはともかく、写真をとってもいい?だけならOKする人もいるでしょう。しかし、写真を展示してもいい?という聞き方であればOKする人は減りそうですし、それがネットに公開される可能性なども含めた聞き方であればOKする人はさらに減るでしょう。

さらに、その写真が有料で販売されるなどということになった場合、もはや”写真をとってもいい?”で得られた許諾は全く通用しないのではないかという気すら湧いてきます。

少女の親に承認書までもらって写真撮ってるんだ!という勢いなら話は別かも知れませんが、現時点ではなんかどうもモヤっとした感じが拭えません。

 

そして広く言われていることですが、行動の結果を把握しきれない女子小学生や女子中学生からの許可を得たとして、果たしてそれはそもそも有効なのかという点もあります。

法律的な話ではなくて、人道的な話で。大人なら自己責任かも知れませんが、子供の無知につけこんでいるようにも思えます。

プライバシー侵害にあたるのでは?

人には肖像権があります。これは権利である一方、特段法律で定められているわけでもないそう。また、パブリシティ権というものも持っており、有名人などの知名度はその人物が独占できるという権利もあります。

街で他者の写真をとって、これらの権利を侵害するような行為を行ってしまえばそれはアウトのようです。

逆に言えば、常識の範囲内であれば無断に他者の写った写真を公開しても損害賠償まで行くことはまれのようです。

 

もちろん、社会的地位のある人間が風俗街で歩く姿を撮ってネットに晒そうものなら、それはとてもとても危険な行為でしょうけど・・・。常識的な範囲内なら良いようです。

では、中年男性が女子小学生や女子中学生の写真を撮って不特定多数に展示したりするのは、そしてそれをネットで広告するのは・・・果たして常識的な範囲内と呼べるのか甚だ疑問です。

写真を通した情報漏えいについて考えてみる

声かけ写真展では街の風景などでも徹底的に人の顔が削られていることに違和感を覚えているようです。昔は良かった、街行く人をとっても咎められなかった、とでも言わんばかりですがそこには触れません。

 

もっとも突っ込みたいポイントとして、そもそも今と昔じゃ環境が全然違う!ということです。30年間なんてネットは一般化どころかごく一部でしか活用されていなかったですから。

街ゆく誰かの写真を撮ったとしても、それが次の日には全世界に配信されている!!!!なんてことにはなりません。昔の人にそんなことできません。

 

しかし今は何もかもが違います。学生が電車で他者をスマホで盗撮し、SNSで写真をアップロードし不特定多数に向けて発信、更には暴言まで添える始末。その間、約1分。

別に学生に限った話じゃありません。誰でもそんなことを行える世の中なんです、今は。だからこそ、誰かが撮る写真には極力写ってしまうのを避ける。撮る方も映らないよう配慮する。

 

しかも、今時の写真は画質も上がっていて、ネット上で様々なサービス(google mapのストリートビュー)や画像認識技術なども活用できます。写真に写っているものから”その写真がいつどこで撮影されたものか”ぐらいは推測できるでしょう。

また、写真に紐付いているexif情報などから位置がバレてしまうことも考えられます。

 

街行く女子中学生を撮影したのであれば、その写真がどこで撮られたかを推測することで少女の行動範囲がつかめてしまうかも知れません。写真は想像外の情報を写し込むものです。

 

そのような写真があっという間に全世界に配信できてしまうような社会では、当然人々は他者に写真を撮られることについてより敏感になります。

撮影者の周り数百人程度の話じゃないんです。ネットへのアクセス権を持った人間全てがその写真を閲覧できてしまうんです。

懐かしむのは構いませんが、写真にまつわるこのあり方を否定することは難しいでしょう。当然の流れだと思います。

とりあえず

表現の自由とかも良いんですが、やはり法律どうこうという以前に人としての常識の範囲内で行動できるようにありたいものです。

声かけ写真展についても、冒頭のようなキャッチフレーズをつけてしまうあたりに少しねじ曲がったものを感じてしまいます。

なぜ、街行く少女のノスタルジー、のような当たり障りのない(知らないけど)名称にしなかったのか。炎上狙いだったのか。よくわかりませんが、違和感しか感じません。

本当に。こうしてどんどん規制は厳しくなっていくのでしょうね。

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